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Vision

Solar Mobiwayを利用した
日本初のZEP(Zero Energy Parking)
実現へ

全国で駐車場の運営を担う日本パーキングは、その事業特性から東京建物グループの中で三番目にCO2排出量が多いという課題を抱えていました。
そのような現状のなか、東京建物グループは脱炭素社会の実現に向けて「2030年度までに温室効果ガス排出量を2019年度比で46.2%削減、そして2050年までにネットゼロを目指す」という中長期目標を設定。
その目標の達成に向け、当社ではGX(※1)推進プロジェクトチームを発足し、環境問題に目を向けて駐車場事業者として脱炭素社会実現に向けてできる事を考えていきました。プロジェクトチームは、ZEP(※2)、グリーン電力(※3)、EV(※4)の3つのプロジェクトで構成されました。その中でもZEPチームの取り組みについてご紹介します。

※1:GXとはグリーントラストフォーメーションの事で、カーボン(主にCO2)をはじめとする温室効果ガス(GHG)の排出抑制を目的とし、従来の化石燃料を用いた火力発電から太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー中心の産業構造へと転換する取り組みを指します。

※2:下記参照

※3:太陽光や風力、水力など、CO2を出さないエネルギー源で発電された電気のこと

※4:Electric Vehicleの略。電気自動車のこと

ZEP(ゼップ)とは?

日本パーキングが独自に定めたZero Energy Parking(ゼロ・エネルギー・パーキング)の略称であり、「電力の省エネ推進、再エネへの転換及び創エネ設備の導入を経て、電力小売事業者からの電力供給を頼らない駐車場」のこと

【ゼップ(区分第39類 登録商標第6623257号)】

自律型エネルギーシステムの
運用イメージ

昼

太陽光路面発電で発電した電力をEVリパーパスバッテリーに蓄電し、全ての駐車場設備の電力を賄います。

※EVリパーパスバッテリーとは中古電気自動車(EV)から排出されたバッテリーを再利用したもの。

夜

日中にEVリパーパスバッテリーに蓄電した電力で、夜間の全ての駐車場設備の電力を賄います。

当時発足されたZEPチームは、まず時間貸し駐車場への太陽光路面パネルSolar Mobiway(以下Solar Mobiway)を使用した発電システムの実装に着手しました。当時、MIRAI-LABO株式会社が太陽光路面発電パネルの実証実験を企画し、1業種1社で出資を募っており、「この実証実験を当社の駐車場で行い、そのデータを収集できれば、他の駐車場への水平展開、ひいては当社の駐車場のZEP化につながる」と出資を交渉した結果、出資する権利を獲得することができました。
この出資の決定要因は大きく2つあります。
1つは、日本パーキングが商業施設をはじめとする大型駐車場での豊富な運営実績を持っていたこと。そしてもう1つは、MIRAI-LABO株式会社の本社のある八王子市内に当社が保有する駐車場が複数あったこと。
八王子市内で実験を進めたいという先方の要望にマッチしたことが、このプロジェクトを進める大きな要因となりました。

八王子市内の「NPC 24H 南大沢駅前パーキング」屋上駐車場エリアに設置された太陽光パネル。実証実験の舞台になった

2022年7月より「NPC24H 南大沢駅前パーキング」の屋上駐車場エリアで実証実験を開始しました。実証実験ではSolar Mobiwayとバッテリーを設置し、Solar Mobiwayから発電した電力を使用して、エレベーターホールと屋上照明の自律化を進める。実験開始から約1年が経過しましたが、この間、エレベーターホールと屋上照明は昼夜とも途切れることなく常時点灯を達成しました。
しかし、成功と同時に「Solar Mobiwayの発電量を正確に把握することができない」という課題に直面。要因は、発電電力に対し、エレベーターホールや屋上照明で消費される電力量が小さかったため、バッテリーのフル充電状態が常態化していました。そのため、バッテリーはせっかく発電した正確な発電量が分からない状況になってしまいました。

そこでより消費電力の大きな屋上のロゴマークへ送電先を切り替えることでフル充電状態の常態化を回避すると同時に、発電した電気残量が枯渇した際に自動的に商用電力供給に切り替えが可能なデバイスをMIRAI-LABO株式会社に開発を依頼。この仕組みにより、正確な発電量の把握に取り組んでいます。
現在では、平面駐車場に対して路面太陽光発電パネルを導入し、まずは1件のZEP化達成を目標としています。
「NPC24H南大沢駅前パーキング」から始まったこのプロジェクトは現在、平面駐車場の「NPC24H南阿佐ヶ谷南3丁目第2パーキング」でも実証実験を開始しています。パーキング内に48枚(広さ約50平方メートル)のSolar Mobiwayを設置しました。実証実験中は年間の発電量、蓄電量及び電力消費量の他、日射量などの環境データを取得し、ZEP化の実現を検討すると同時に、Solar Mobiwayの耐久性についても検証します。

本プロジェクトでは社内および東京建物との調整に苦戦しましたが、当初にあった東京建物グループの中長期目標を達成するため、本プロジェクトを継続して遂行していきます。
日本パーキングはZEPの取り組みや駐車場のグリーン電力化、EV充電器設置の推進に取り組み、2030年度までに当社が事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄う事を目指しています。脱炭素社会に向けた取り組みとして、創エネ、再エネ及び省エネの導入について、一層の強化を図っていきます。